この記事では旅行業務取扱管理者とは何か、また旅行業務取扱管理者試験の内容や形式、難易度・合格率などを紹介する。またおすすめのテキストも紹介していく。私自身はこれまでに日本一周を3度行い、先日は国内旅行業務取扱管理者の試験で得点率90%を達成した。今回はそのような経験も踏まえ、旅行系東大生がこの資格について紹介していく。
Travis Japanの川島如恵留さん
日本のアイドルグループ「Travis Japan」のメンバー、川島如恵留さんは2023年に国内旅行業務取扱管理者資格を、2024年に総合旅行業取扱管理者の資格を取得したそうだ。川島さんは他にも国家資格である宅地建物取引士(宅建士)や、秘書検定なども取得するなど、アイドルの傍ら、資格マニアとしての側面があるようである(なんと今は18個目の資格取得に向けて取り組んでいるそうだ!)。今回は私も実際に受験した旅行業務取扱管理者の資格について紹介していきたい。
川島さんの記事(ginger)「文筆家・川島如恵留(Travis Japan)は18個めの資格取得後に広がる「出来る事」の増えた世界に目を輝かせ中」

旅行業務取扱管理者とは?
旅行業法において、旅行業者は営業所ごとに旅行業務取扱管理者を1人以上配置することを求めている。そしてこの旅行業務取扱管理者になるためには国家資格である旅行業務取扱管理者試験を受験し、合格する必要があるのだ。旅行業務取扱管理者の業務は法令により以下のように定められている。
①旅行に関する計画の作成
②旅行業務取扱料金の掲示
③旅行業約款の掲示及び備置き
④取引条件の説明
⑤契約書面の交付
⑥企画旅行の広告および誇大広告の禁止に関する事項
⑦企画旅行の円滑な実施のための措置
⑧旅行に関する苦情の措置
⑨契約締結の年月日、契約の相手方その他の旅行者または旅行に関するサービスを提供する者と締結した契約の内容に係る重要事項について明確な記録またが関係書類の保管
⑩取引の公正、旅行の安全および旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項
なお、以上の10点は試験を受ける際に覚える必要がある。
旅行業務取扱管理者の種類
旅行業務取扱管理者には3種類ある。地域限定旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者、総合旅行業務取扱管理者だ。後者になるにつれ取り扱える範囲が大きくなっていく。たとえば地域限定旅行業務取扱管理者は特定地域の旅行業務のみを取り扱える。また国内旅行業務取扱管理者であれば、海外旅行以外を取り扱うことができ、総合旅行業務取扱管理者は全ての旅行商品を取り扱うことができる。Travis Japanの川島如恵留さんは、2023年に国内の旅行業務取扱管理者を、2024年に総合旅行業務取扱管理者を取得したそうだ。基本的には総合の方が難易度が高い。今川島さんは資格の上では全ての旅行商品を扱えるようになったのだ!ただし旅行商品を販売するためには旅行業務取扱管理者の資格を取得するだけでは十分でなく、管轄する官公庁に旅行業の登録を受ける必要がある。また、この資格を維持するためには5年ごとに研修を受ける必要がある。
旅行業の登録については以下の記事もご参考ください。
旅行業務取扱管理者の試験
試験の内容
この試験では大きく分けて①旅行業法②旅行業約款③国内旅行実務という三つの部門について試験が出題される。そしてすべての部門で一定(基本は6割)以上の点数を獲得した場合に合格となる。
①の旅行業法については、旅行業に関する登録関係の話や、先ほど挙げた10個の業務のそれぞれの内容に関する問題などが出題される。②の旅行業約款では、標準旅行業約款に沿って、契約の結び方や旅程が狂った場合の対応などについての問題が出題される。③の国内旅行実務ではJRや飛行機、フェリーなどの運賃計算の方法や、各地の名産品・観光地・伝統文化・祭りなどが出題される。この3つの中でも特に③の運賃計算や各地に関する知識が難関と言われており、煩雑な運賃の仕組みを理解していないといけないし、各地についての暗記なども必要だ。国内旅行業務取扱管理者であれば日本各地の観光地だけで良いが、総合旅行業務取扱管理者の試験では世界各地の観光スポットが出題されるので、覚えることが非常に多くなる。その点、総合旅行業務取扱管理者試験は難しいのだ。

試験の形式
試験は全てCBT方式で行われ、全ての問題が選択肢問題である。一つだけ選ぶものと複数を選ぶものがあるが、記述問題などはない。また特殊なひっかけなどは少ないイメージだ。旅行業に関する資格試験の中には旅行業従事者でなければ受験できないものも多いが、この試験は基本的に誰でも受験することができる。就職活動に向けて取得する学生も多数いるようだ。
試験の合格率
この試験は1年に一回しか受けることができず、不合格になったら1年の浪人が確定する試験でもある。試験の合格率は国内であれば30〜40%と国家資格の中では高いが、総合であれば10%台と、やはり難易度には違いがある。標準的な勉強時間は国内であれば200時間、総合であれば300時間程度。公認会計士などは3000〜5000時間必要だと言われているのでそれに比べると比較的取得しやすい資格ではあると言えそうだ。各人の旅行経験によるところも大きい。私は国内を受験したが、たくさん旅行していることもありJRの運賃計算や日本各地の知識はあまり苦労しなかった。旅行が好きな人であればもう少し短い時間で資格を取得することは可能であろう。
試験のテキストなど(この3冊で十分)
川島如恵留さんはさまざまな資格を取得されているが、この旅行業務取扱管理者(特に国内)であれば数ヶ月くらいの勉強で合格が可能なので、比較的取り組みやすい方だと思われる。推し活の一環で取り組んでみるのもなかなか趣がある。ここでは私が受験の際に使用したテキストを紹介する。このテキストで独学で取り組んだ結果、1ヶ月くらいで300点満点中270点くらいは取れるようになったので、比較的良い勉強法かと思われる。
1つ目:ユーキャンの旅行業務取扱管理者<観光資源(国内・海外)> ポケット問題集&要点まとめ ’25~’26年版【47都道府県&35の国・地域の地図つき】
③の国内旅行実務を詰めるための本である。この本を10回くらい回せば日本の観光地等についてほとんど全ての内容を覚えられるだろう。ちなみにこの本は、総合旅行業務取扱管理者試験の際に使える、世界各地の観光地の紹介もあり、総合の勉強をするときも使えるので便利だ(国内だけの本はあまりない)
2つ目:一発合格! 国内旅行業務取扱管理者試験テキスト&問題集 2025年版
各分野を全体的にインプットするためのテキストである。法律や約款などがわかりやすく紹介されており、2回くらい読めばほぼ全ての内容を網羅できるだろう。図も入っていてわかりやすい。
3つ目:ユーキャンの国内旅行業務取扱管理者 過去問題集 2025年版【CBT体験プログラムつき!】
全体的なインプットが済んだあとに問題演習で試験の形式に慣れる必要がある。そこで最適なのがこの問題集だ。過去数年分の過去問が科目別に収録されており、全分野を網羅的に学習することができる。旅行業務取扱管理者の試験は過去問を少し変えただけの問題なども多いため、過去問を使った勉強は非常に効果的だ。この問題集の良いところは、昨年の問題が別で収録されていることである。1年前の試験問題は実際の試験に近い形で1本通して練習することができるのだ。制限時間の感覚を掴んだりすることもできおすすめなのと、CBTを模擬的に再現するツールが使用できることも魅力的だ。
川島如恵留さんは旅行業務取扱管理者をどう使うのか
川島さんについて書かれた記事によると、現状は「資格を仕事で使う場所はなく持て余している」とのことであった。楽しいから勉強している、というのが本音のようだ。なんとも文化人らしく純粋に憧れる存在だ。またこれらの活動が、結果的にさまざまな資格やそれに関わる仕事の知名度を上げることにつながっていることこそが社会にとって大きな利益であり、注目すべき点だ。
現在は仕事には繋がっていないとのことであるが、川島さんのような知名度を持つ存在は旅行業界にとっては必要なのではないかと考える。特に地方の活性化などの点では1人が持つパワーは大きい。たとえば「川島さんおすすめのツアー」とか「川島さんの聖地巡礼ツアー」などを販売すると、そのまちには一定数の人がやってくることになるだろう。人が来るとそれに伴う消費活動なども活性化される。そして何より大切なのが、川島如恵留さんは世界に1人しかいないということだ。仮に似た人がいたとしてもそれは川島如恵留さんではない。世界的な知名度という絶大なパワーを用いて旅行や地域に、「風景」や「食べ物」の次なる、「人」という付加価値を与えることが、日本の地域を元気にすることにつながるのではないだろうか。
アイドルグループのグッズはタオルやCDなどの「モノ」などが多いイメージであるが、このようなサービスを販売する時代がやってくるかもしれない。そしてその先頭に立ちうるのが、さまざまな免許を持つ川島さんなのであろうと、考えている。
まとめ
今回は旅行業務取扱管理者の役割や試験について紹介してきました。旅行に関する教養を身につけられる素晴らしい資格なので、ぜひみなさんも紹介した本を使って勉強してみてください!最後までご覧いただきありがとうございました。






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