南大東島発着の飛行機の欠航率を調べてみた!データでみる旅

旅行を考える

みなさんは南大東島へ行ったことがあるだろうか。南大東島は沖縄本島から東に400キロメートルほど離れた海上に位置する離島で、沖縄最後の秘境とも呼ばれる。この島へ行くのは簡単ではない。飛行機とフェリーが就航しているが、フェリーは月に3本しかない上に欠航率が70%近くなることもある。また飛行機は那覇からの便が1日2本だけあるが、その欠航率も高いと言われている。私が南大東島に行った時は南大東空港周辺の天候が悪く、その日の飛行機が2本とも運休になったため、帰れなくなってしまった。前の日の便も欠航だったので、飛行機の座席はだいぶ先まで埋まっているという状況だった。

そこでふと「ではこの飛行機はどれくらい欠航しているのだろうか」と気になったため、調べてみることにした。この記事ではその結果を表やグラフを用いて紹介していく。全体の流れとしてはまず数に注目し、その後割合に注目する。

南大東島発着の航路の欠航率の調査方法

この調査にあたっては、JALのホームページ内の「欠航・遅延便検索」を用いた。1年前まで遅延便・欠航便を検索することができるので、全て手作業で遡って検索し、エクセルに記録する形で集計した。手作業のためわずかに誤差が生じている可能性がある。本データはあくまで参考データとして捉えていただきたい。なお、本データは2025年9月24日に集計したため、期間は2024年9月24日〜2025年9月23日までのものを使用している。9月のデータは23日を境に年が変化していることをご留意いただきたい。

JAL 欠航・遅延便検索

南大東島発着航路の欠航の数

南大東島発着の航空路線は、ダイヤ上は那覇から南大東空港間で、1日2便が運航されることになっている。往復合わせて、2便×365日×2便から、1年に1460本の便が本来運航されるべきである。各月の欠航便数を表とグラフにまとめると以下のようになった。なお、引き返しは欠航としてカウントしている。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
欠航数20101218414104108092
南大東島航路の欠航率

一年に92便が欠航となっている。以上のグラフから分かるように、欠航の便数は月によりかなり大きく異なっている。総じて見れば、冬は比較的安定的に運航されるが、そのほかの季節は欠航が多くなっている。なお、欠航が発生した日数を集計した結果が以下である。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
欠航発生日数10567245233038日

南大東空港発着便で欠航が生じた日数自体は38日である。欠航になる日は特定の日に偏る傾向があることが分かる。

また、このうち、全便が欠航した日数を集計すると以下のようになった

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
欠航発生日数0000203002108日

全便が欠航になることは1年に8日と、意外に珍しいことが分かる。これは個人的には意外な結果であった。私が訪問した日に全便が欠航になったのは、年8回しかないレアなタイミングだったということだ。上の二つのデータをまとめたグラフは以下の通り。

南大東航路 欠航が発生した日数と全便が欠航した日数

南大東島航路の欠航・遅延数

上では欠航になった日数をカウントした。ここからは欠航のみならず、遅延になった日数も積み上げてみる。欠航便数と遅延便数を足し、輸送障害発生便数として集計した結果、以下のようになった。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
輸送障害発生便数60222222820222220100174便

遅延便を足すと、かなり数が大きくなった。一年で174便に輸送障害が発生している。特に9月は遅延が多いようだ。欠航にならなくても、時間通り着かない可能性は大いにあるので、特に那覇空港での乗り継ぎ便の予約には注意したいところだ。こちらのデータも日数で再度カウントしたところ以下のようになった。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
欠航発生日数30899468986038日
南大東島発着の航空路線 輸送障害が発生した日数

だいたい10日に1回くらいは輸送障害が発生しているとみることができる。なかなかである。やはり、ある程度遅延・欠航の覚悟は必要だろう。

南大東島航路の飛行機の欠航率 年平均6.3%

ここまでは日数や便数のカウントを行ってきた。ここからはその数を元に南大東島発着の航路の欠航率・遅延率を算出していく。導き出した欠航便の率(欠航率)は以下の通り。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
欠航率1.6%0%8.0%10%14.5%3.3%11.3%8.0%3.3%8.0%6.6%0%6.3%

年平均の欠航率は6.3%であった。しかし0%〜14.5%まで、月毎に大きな差があることに注意しよう。この率による分析により、月ごとの日数の違いをならしたデータを見ることができる。月ごとの比較はこの率を用いて行うのが適切である。なお、航空機の欠航率はJALやANAであれば1%前後とのことなので、南大東航路の年平均6.3%の欠航率は非常に高い水準であると言えるだろう。

国土交通省 特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報公開のポイント

また、日数ベースでの欠航発生確率も求める。1ヶ月のうち何%の日で欠航が発生したのか(欠航発生日率)、また1ヶ月のうち何%の日ですべての便が欠航になったのか(完全欠航日率)を以下にまとめた。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
欠航発生日率3.2%0%16.1%20%22.5%6.7%12.9%16.1%6.7%9.7%10%0%10.4%
完全欠航日率0%0%0%0%6.5%0%9.7%0%0%6.5%3.3%0%2.2%

欠航発生日率は年間10.4%、完全に欠航となる日は年間2.2%であることが分かった。例えば7月は欠航発生日のほとんどが完全欠航日であった、という分析も可能である。最も多い5月には22.5%の確率で欠航の日に当たる可能性があるというのはなかなかではなかろうか。

南大東島航路の飛行機の遅延・欠航率

先ほどの集計と同じように、欠航率に遅延率を積み上げた輸送障害発生率を計算した。その結果が以下の通り。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
輸送障害発生率4.8%0%17.7%18.3%17.7%6.7%16.1%17.7%18.3%16.1%8.3%0%11.1%

輸送障害発生率(便数)は年平均で11.1%であった。しかし、月によって0%から18.3%まで幅があることは注意したい南大東島をスケジュール通り観光するのであれば、2月、6月、12月あたりが最適であると言えるだろう。このグラフを参考に旅行のタイミングを考えてみるのも一つの手であろう。

輸送障害発生についても、日数ベースで分析した。輸送障害発生日の各月割合は以下の通り。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
輸送障害発生率9.7%0%25.8%30%29.0%13.3%19,3%25.8%30%25.8%10%0%18.3%

最大で1ヶ月の30%の日で輸送障害が発生していた。年単位で見ると、1年のうち18.3%の日で輸送障害が発生するということであった。

南大東島発着の航空路線の遅延・運休の特徴

様々なグラフを見てきたが、南大東島発着の航空路線は欠航や遅延が発生しやすいということがお分かりいただけただろう。この南大東航路は、1台の航空機が那覇空港と南大東空港をピストン輸送するイメージである。そのため、那覇空港から出た飛行機が南大東空港に着陸するのを諦めたら、自ずとその次の南大東空港発、那覇空港行きの飛行機は運休となる。南大東空港は時期により霧が発生しやすく、南大東空港まで飛んで、視界不良で着陸を断念するということが多いので、南大東空港発の便は特に、直前ギリギリになってから運休が決定することもある。着陸できたとしても、何度も着陸をやり直す影響で次の折り返し便に遅れが生じる場合が多い。なお、天候が怪しい時は条件付き運航となる場合がほとんどだ。条件付き運航となった日には、南大東島へ向かう人は「着陸できるかな、できないかな」と揺さぶられ、南大東空港から出る人は「乗れるかな、乗れないかな」と、互いに南大東島の空を見ながら思うのである。私が行った日は何度も何度も着陸にトライする音が聞こえたのち、諦めて遠くへとその音が離れて行ったのを聞いた。こうなると、基本的には予定通りに旅は進まなくなるのだ。なお、たまに那覇まで引き返してから南大東空港までもう一度飛んで再チャレンジする場合もあるらしい。

また、便数ベースの欠航率と日数ベースの欠航率を見比べると分かる通り、南大東空港の欠航は特定の日に偏る傾向が読み取れる。たとえば2025年の5月に発生した18本の欠航のうち、12本は5月9日から5月15日の6日間に発生している8月は24日から28日までの5日間で定刻通り運航されたのは20本中たったの4本で、欠航が8本、遅延が8本であった。部分的に壊滅的な欠航率・遅延率となるのである。南大東島を訪れる際はその前後の日の調子と、天気予報をよく見るべきであろう。

いかがでしたでしょうか。今回は南大東空港発着の航空路線の欠航率を調べてきました。ぜひさまざまなデータを加味して南大東島を訪れてみましょう。最後までご覧いただきありがとうございました。

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