なぜ旅は疲れるのか!旅と旅行の違いにも着目

旅行を考える

旅行にいく前日に「なんだか面倒くさくなってきた」といった経験はないだろうか。また旅行の時は楽しいのに帰ってくると疲労感が一気にやってくることもあるだろう。今回はなぜ旅で疲れるのかを年100日旅行する東大生が考えてみる。

定義づけ 疲労とは何か

日本疲労学会(そんな会があるのか!)は、「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義しているそうだ。そもそも休養で旅行に行ったのに、休養の願望を伴う状態に陥るというのは、本末転倒である。

今回はこの定義を元に旅行で疲れる原因を探っていく。

おそらく旅の予定を詰め込みすぎている

多くの日本人は限られた数日の休暇を使って旅行をすると考えられる。そうなると、せっかくの旅行だということで、張り切って旅行内の予定をパンパンに詰め込むのは理解に難くない

一方、欧米に目を向けてみると、日本とはかなり違った状況であることがわかる。欧米では有給休暇を一気に使って3〜4週間のバカンスを楽しむのが一般的である。もちろん家で過ごす人もいるが、特定の場所で長期滞在するということも多いようだ。日が長ければ日程も自然と余裕のあるものになっていくだろう。こういった事例を見比べると、日本の人々が社会の構造上、旅行の日程を詰め込む傾向にあるということが読み取れる。

私は年に100日ほど旅行をしているが、旅行するのが日常になってくると、たくさん予定を詰め込もうという気持ちは薄れてくる。むしろじっくりその街に浸ってみたいという感情が芽生えるのである。

なので、旅行で疲れる人にとってできる対策の一つはまず「日程を詰め込みすぎないこと」であると同時に、逆説的ではあるが「旅行する機会を増やすこと」も有効ではないだろうか。ぜひ土日の一日だけでも旅行してみよう。数ヶ月経つと旅行家思考が生まれてくるかもしれない。

夕焼け

移動や温泉、食事での疲れ

移動の疲れ

旅行における疲労について看過できないのが、移動における疲れである。私も旅行をしていると、座って移動していただけなのにも関わらずやけに疲れることがある。それも移動距離に比例して疲れが増加している感じがある。この事象を調べてみると、同じ体勢でいるということ自体が疲れの原因であるそうだ。まず同じ姿勢でいると血流が悪くなり、疲労に関わる物質の代謝が遅くなるらしい。それだけではなく、電車やバス・飛行機の揺れから人体のバランスを維持するためにも人間は多くのエネルギーを使っているそうだ。交通機関を利用する際は適度にストレッチをするのが効果的かもしれない。

さらに自動車などを運転する際は相応の注意力が必要であり、精神的疲労も相まって疲れにつながる。また長い移動時間の中で「退屈である」ということ自体も疲労の原因になりうるのだ。

阿佐海岸鉄道DMV
阿佐海岸鉄道DMV

温泉での疲れ

旅行先にいくと温泉に入ることも多いだろう。しかしこの入浴という行為も疲労の原因になりうるのだ。温泉に入った際は体の熱を体の外に逃がそうとしてエネルギーが消費される。

仮に42度の温泉に20分間入浴した場合、消費カロリーは220kcalにものぼるそうだ。30分ランニングするのと同じくらいカロリーを知らぬ間に消費するのだ。特に温泉がメインの旅行であればつい長風呂をしてしまいがちである。サウナにも入るとなると、10分×3セットでさらに120〜180kcal消費することになる。適度に休憩しながら、ほどほどに楽しむのが良さそうだ。

鳴子温泉
鳴子温泉

食事での疲れ

旅先では美味しいものを食べたくなる。ホテルに宿泊する場合はバイキング付きであることも多く、つい食べ過ぎになりがちだろう。食べ過ぎると、食べたものの消化吸収のために内臓が働き、体の内部から疲労をもたらす。

やはりほどほどが一番美味しく、一番旅を楽しめるのだ。

大東寿司
大東寿司

旅行は不安と思考の塊である

旅行をする際は慣れない土地に対する不安がつきまとう。予定通りに進まない不安もあれば、何かのアクシンデントによる不安もある。また観光地の物価が高すぎてうんざりすることもある。さらに、次にどこに行こうか、食事は何を食べるか、お土産は何を買おうかなど、旅には思考と選択の機会も多い。旅は精神的にも疲れるのである。

しかし私はこの部分は旅のデメリットである反面、旅が人間を成長させることにつながる部分でもあると考えている。楽しみながら、困難を乗り越えたり物事を前に進めたりといった自主性を鍛えることができる上、思考法などを確立することにもつながる。私はこのような、旅行の教育的側面をさらに生かしていくべきであると考えている。

「旅」と「旅行」を分けて考えたほうがいい

最後に旅と旅行は違うという話をしたい。おそらく辞書の上では同じ意味であるが、私がこれまで膨大な日数を旅行してきたなかで、その間にある微妙なニュアンスの違いを感じたのでその内容を紹介する。

まず「旅」については14日以上くらいの比較的長めの旅行で、1人旅をイメージするとわかりやすい。もちろん日数が短くても良いが、さまざまなまちに触れ、さまざまな人に会い、まちの良いところも悪いところも感じよう、という姿勢でのぞむ旅のことを「旅」と呼ぶと考えている。長い日数旅行していると、雨が降る日も、風が吹く日も、台風が来る日もある。しかしそのような中でも試行錯誤し乗り越えるのである。旅が日常だと感じた時が本当の「旅」の始まりだ。「旅」は学びの要素が大きく、自分探しの側面も強い。一方その分、ある程度の疲労は避けられない。休養としてはあまり機能しないだろう。

次に「旅行」については専ら休養を目的としたものであると考えている。普段とは違う場所に行って、美味しいものを食べ、温泉に入り、くつろぎ、次の仕事を頑張ろうと思える旅行である。ゆっくりくつろぐことが最上の目的にある旅である

多くの人がこの「旅」と「旅行」を混同するために、本来の旅行の目的を見失うのではないかと考えている。今やりたいのは「旅」なのか「旅行」なのか、見つめ直してみよう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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