秘境駅を地方創生に繋げるために
しかし、秘境駅を地方創生に繋げるためにはそれなりにハードルがあるだろう。まず鉄道利用者という目線で考えてみたい。下灘駅や小幌駅のように多くの客が鉄道で訪れる駅もあれば、糠南駅や北浜駅のようにほとんどが自動車などで訪問するために鉄道利用者の数字に反映されない事例もある。駅や路線を維持するJRなどの企業にとって、旅客運賃の収入に繋がらない駅や路線については見直しを求められかねない。しかしながら列車の本数はいずれも少なすぎるため鉄道でのアクセスは現状難しい。JRなどの企業にとっては非鉄道利用者らをいかに収益に繋げていくのかという目線が重要であろう。一方、秘境駅の観光客の数は赤字鉄道区間を克服するほど大量にいるわけでもないということにも注意したい。
また、地域経済の活性化という目線も踏まえて考えたい。秘境駅の周辺にはその特性上、商店やスポットが少なくなりがちである。経済活性化において重要とされている「地域外からのお金」が得にくいスポットとなっているのである。糠南駅は秘境駅という素材をグッズ化してお金を得られるようにしているが、たとえば下灘駅前にはコーヒーショップが一件あるくらいである。残念ながら観光客の増加がほとんど経済発展に繋がらず、地元住民にとって良い変化を感じることができていないというのが実情であろう。むしろ観光客が増えたことによる 騒音などの弊害を感じている可能性もある。だからといって店を増やせば良いのかというとそれも難しいだろう。店だらけになったらそれこそ秘境駅とは何なのかということに繋がりかねないし、そもそも温泉地や有名観光地に比べると大した客数ではない。しかし経済効果はそこでものが売れたかどうかということのみに依存するものではない。観光開発においては宿泊客を増やすことが重視される傾向がある。宿泊利用者が増えれば宿泊とそれに付随するサービスにより、旅行者がその場所で使う金額が多くなる。仮に秘境駅を旅程に組み込みやすいように交通機関を調整したりすれば、周遊範囲と滞在時間を伸ばすことができるかもしれない。また夕日を名物化したり、駅舎のライトアップをしてみたりすれば夜にそのまちに滞在する理由となりうる。秘境駅単独で利益を増加させるのではなく、秘境駅を用いた回遊性の向上や客単価の向上などが現実的な範囲なのではないかと考える。

また地域活性化については旅行会社の責任もあると考えている。地方を上手に回る方法に関する情報を提供したり、地域にある魅力を発掘することが旅行会社が果たすべき役割の一つではないだろうか。
現在我々は地方の旅行を多く行ってきた大学生メンバーによる旅行相談をボランティアで受け付けています。ご興味のある方でぜひお問い合わせからその旨お知らせください。
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