近年、テレビ番組やSNS等でご当地スーパーが特集されたり、旅行でスーパーに寄る人が増えているそうです。実際、私の旅行仲間もスーパーにいくという声はよく聞きますし、むしろ長期間旅をする私たちにとっては、旅行中にスーパーにいくことはあたり前になっています。船に乗る前などはスーパーで食料を調達する観光客が多い印象です。
SNS上でも、食料品店巡り(grocery store travel)として言葉が定着するほど、注目されつつあるスーパーマーケットですが、その魅力とは一体なんなのでしょうか。本記事では、日本中を旅しながら全国各地のスーパーを巡ってきた、書籍『スーパーって観光地やねん』を上梓した著者がその魅力と、行かないことの機会損失についてご紹介します。
理由1:スーパーは安い
私たちが普段スーパーに行く時考えるのは、より良いものをより安く、ということであると思います。この目的は、旅行先でスーパーへ行く時にも共通します。
現地の観光地などで食事をしようとすると、とても値段が高いことが多いですよね。近年は特にインバウンド観光客の増加もあり、食費は旅行でサイフに重くのしかかります。しかも、そういった店はお昼時になると大混雑、ということもしばしば。こうなると、時間もお金も少し勿体無いですよね。そこで、おすすめなのが「スーパーを訪れる」ということです。
ご当地スーパーへいけば、お惣菜コーナーには郷土料理のお惣菜などが販売されています。高知県のスーパーでは、さわち料理の中で登場する「田舎寿司」という山菜でできたお寿司が販売されたりしていました。また、海沿いのまちでは刺身コーナーへいけば、大抵の場合、現地でとれた新鮮な魚の刺身などがパック詰めされて販売されています。これらを買って食べることは、飲食店で食事をすることと遜色なく、むしろスーパーの方が美味しいじゃないかということだってあります。しかも、スーパーで買えば飲食店よりもうんと安い値段で購入できる。少量パックなどもあり、気になった料理を少しずつ試すことだってできるのです。
理由2:スーパーにしか売ってないものが変える
「スーパーは飲食店やお土産店の代替品なのか」というと、そうではありません。スーパーにしかない魅力というのが存在します。ここからはそのような側面について紹介したいと思います。
スーパーには、お土産店や飲食店では手に入れることができない商品がたくさんあります。たとえば、ご当地スーパーのパン売り場に行ってみれば、その場所でしかみることができないパンに遭遇することがあります。兵庫県などでメロンパンを探すと、他の地域のものとは少し違っています。兵庫県などを中心とした地域のメロンパンは、ラグビーボールのような形をしており、中には白あんが入っています。私たちがよく知っているメロンパンは、「サンライズ」という別の商品名で販売されています。
兵庫県へ行った際、お土産屋さんでこのラグビーボール型のメロンパンを見たことがあるひとはいるでしょうか。おそらく、ほとんどのお土産屋さんでは販売されていないと思います。スーパーへ行くからこそ手に入れることができる商品なのです。
スーパーに行かない場合、こういった地域の隠れた商品に触れる機会が失われてしまいます。その土地の魅力に気が付かないまま、その街を去ってしまうことになるかもしれませんよ。
理由3:その街の人々のリアルな食生活が見える
少し違った側面で考えてみましょう。私は先日、とあるまちを旅行しました。そのまちは馬刺しが有名な場所として知られている地域です。ここで私は、馬刺しが有名なまちならさぞスーパーにも馬刺しくらい売っていることだろうと思い、スーパーを訪れました。しかしながら、何軒巡っても馬刺しは売られていません。やっと入った少し高級志向のスーパーの、観光客向けと思われるコーナーに、ほんの少しだけ販売されているのを見つけることができましたが、それも産地は海外でした。
こういう状況に直面すると、「有名と言われている馬刺しは、おそらくあまりここの地域の人たちは普段食べないんだろうな」ということが、なんとなく見えてくるのです。美味しいものを食べれたらそれでいいじゃないか、という考え方もあるとは思いますが、それでもせっかく長い時間移動してきたのだから、その土地の本当の姿を楽しみたいと私は思います。
普通の観光地とは違った魅力が感じられるのが、スーパーという観光地です。
『スーパーって観光地やねん』
著者:下村英理
出版社:青月社
イラスト:Moeko Kobayashi
日本全国を歩き尽くした著者が教える、
駅や空港の売店では出会えない本当の名物グルメとそれらを通して見えてくるご当地の文化と歴史。
大阪といえばたこ焼き、沖縄といえばソーキそばなど、日本全国にひろく知られたご当地グルメや定番のお土産の数々。
これらは地元の人々も日常的に食べているのか?
あるいは観光客向けに“見せられた伝統”なのか?本書では、日本一周の旅を3回達成した著者が
訪れたまちの日常をリアルに味わうことができる空間としてスーパーマーケットを「観光地」と定義。そこでしか出会えない名物料理や地域限定のお菓子などを豊富なビジュアルとともに多岐にわたってご紹介。
“本当の”名物グルメとその文化的背景を通して、みずから現地へ足を運ぶことの意義や旅でしか得られない体験を語る!
スーパーは入場無料のテーマパーク
美味しいご当地グルメを食べたり、絶景を見たりするのも旅行の醍醐味です。しかし、綺麗にパッケージされた観光地を一歩離れ、地元の人が夕飯のおかずを取り合うスーパーに足を踏み入れた瞬間、そこには「作られていない、すっぴんの日本」が広がっているのです。もちろん、なかなか珍しいものを発見できないことも多々あります。それでも「あっ」というものを見つけた時のドーパミンは凄まじいものがあります。いわば宝探しなのです。
次の旅行では、ぜひ立ち寄ったまちのスーパーを訪れてみてください。最高の観光地と体験がそこにあるはずです。




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