ニューマン高輪にある謎の木の乗り物「iino(イイノ)」【高輪ゲートウェイシティ】【NEWoMan高輪】

旅行のハウツー

TAKANAWA GATEWAY CITYが3月にまちびらきをし、2025年9月12日にはニュウマン高輪(NEWoMan高輪)がオープンした。高輪ゲートウェイ駅が開業した直後は誰もいなかった地区だが、先日訪れた際には多くの家族づれなどが訪れており、賑わっていた。商業施設の中に森があったりと、面白い施設であるが、その中でとある乗り物に出会った。「iino」という乗り物だ。今回は日本一周を3回した東大生がこのiinoについて紹介していく。

自動走行モビリティiino(イイノ)とは?

iinoは自動走行モビリティと呼ばれる乗り物である。TAKANAWA GATEWAY CITY内で走行している。時速は毎時5kmで定員は3名。非常に低速で進み、運転は自動で行われる。人が近づいたら自動で停止し、降りる時は減速センサーに手をかざすと止まってくれる。基本的に決まったルートを走るのだが、障害物があればうまくよけて走行したりもする。高輪ゲートウェイシティ内を歩いていると、4台ほどが稼働しており、通りがかりの人は不思議そうにこのモビリティをみている。ちなみにこのiinoは水素由来の電気で動いているものもあるそうで、環境にも配慮した乗り物である。高輪ゲートウェイ以外に羽田空港などでも導入されているらしい。またさまざまな実証実験の機会にみることができる。

高輪ゲートウェイシティ イイノのサイト

Iino(イイノ)

iino(イイノ)はなんのためにあるのか

時速5kmで走る乗り物、急いでいる時は走った方がよっぽど効率的だ。ではこの乗り物はなんのためにあるのだろうか。このiinoを運営する「ゲキダンイイノ合同会社」のホームページを見てみると、そこには「目的地に到着することは重要ではない。移動すること自体を楽しむ空間」と書いてあった。この乗り物は、移動を楽しむための空間なのである。ぱっと見よくわからないが、GATEWAY CITY TAKANAWAで実際に乗ってみると、その意味がなんとなく分かるような気がした。この乗り物に乗っていると、我々が歩く時にいかにさまざまなことを見逃しているのかに気づく。ゆっくり進む中で、歩くことに集中しなくて良い。するとちょっとした段差や、建物のデザイン、周りを歩く人の姿などが気になってくるのだ。私のイメージでは散歩をするための乗り物、という印象だった。

高輪ゲートウェイシティ

iinoはどこで使うのか

このモビリティは時速5kmであるからこそ歩行者がいる空間でも比較的安全に走行できるので、これまで乗り物があまり走っていなかったような場所にも活用できる。ゲキダンイイノ合同会社のホームページには、走行予定場所として、都市の歩行者空間や観光地、リゾート、レストランなどが挙げられていた。商品として販売されているものにはタイプSとタイプRがあるようで、それぞれサイズや定員が異なっている。これ以外にも場所に応じたさまざまなデザインが可能だそうだ。

近年はスローモビリティに関する研究が都市開発などの分野で盛んだ。スローモビリティは時速20km未満で公道を走るものをいうため、iinoはスローモビリティには当たらないと考えられる。しかし景色を楽しんだり、安全性を向上させたりといった観点では共通点も多いだろう。

高輪ゲートウェイシティからはひっきりなしに電車が見える

ゲキダンイイノ合同会社について

この会社は大阪市北区の関電ビルディング内に本社がある、2020年に創業された関西電力グループの会社だ。事業内容には「時速5キロの低速モビリティサービス「iino」の運営」とだけ書かれている。数年前から都市のあちこちで実証実験が行われていた。2021年から東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)との協議が行われていたそうだ。導入に先立って、2023年には竹芝での実証実験が行われていたという情報もある。もちろん現在も実証実験の意味合いが強いとは思うが、プレスリリース等をみる限りはこの高輪でモビリティサービスとして本格的に導入されたという形らしい。

ゲキダンイイノ合同会社 HP

東日本旅客鉄道(JR東日本)とベンチャー支援

JR東日本は、GATEWAY CITY TAKANAWAを「未来の実験場」として捉えている。「100年先の未来に向けたイノベーションの場」とするためのさまざまな取り組みが行われている。ビジネス創造施設を作ったり、新たなファンドを設立したりなど、その取り組みは多彩だ。近年、JRをはじめとする鉄道会社がベンチャー支援などに乗り出している事例が増えている。鉄道会社は都心に大きな土地を持っており、人が集まる駅や商業施設などを多数有している。ベンチャー企業にとっては社会の実験場として最適な場所なのだ。鉄道会社の目線でも、鉄道事業にとどまらず、経営を多角化することにつながる。

今回のiinoはJRと資本・資金的な関係は確認できなかったが、未来の実験場という目線でみると非常に面白い。この乗り物が次どのような形で人々の動きを変えていくのか、楽しみである。

JR東日本ニュース

iinoに乗ってみた!iinoの乗り方

ここからは実際にiinoに乗る方法や乗った時の様子を紹介する。

1、乗車する

iinoは決まったルート上を走っているが、30cm以内に人入れば自動的に減速し停止する。停止したことを確認したら、立つ場所が3箇所あるので好きなところに乗る。今回は友人と二人で乗車した。ちなみに乗車場にはめじるしがあるが、係員などがいるわけではない。高輪では無料で乗車することができた

足を置く場所

2、動く

乗車すると自動的に動き始める。iinoにはスピーカーが搭載されており、iinoの紹介や曲がる前の案内などをしてくれる。また特に手すりにしっかりと捕まるように案内がされた。時速5kmであるとはいえ、乗ってみると意外にスピード感を感じる。急停止すると危ないのでしっかりと手すりを握っておこう。そのほかは立っているだけで何もしなくて良い

走行していると、周りの歩行者が興味深そうに見てくる。やや恥ずかしい気持ちもあるが、それも含めて体験である。コンサート会場のトロッコや、選挙活動などにも使えそうだ、などと私の友人と話しながら、コースを一周する。

3、降りる

停留所が近づいたら、減速センサーに手をかざし、停車させる。完全に停車したら、車両を降りる。ちなみに待っている人がいなければ何周しても良いそうだ。この日は数組くらい並んでいた。私たちも10分くらい待ってようやく乗れた。ちょうど私たちの前の子連れ客が間違って非常ボタンを押してしまったようで、しばらくiinoが止まったりもしたが、思ったよりすぐに運行再開した。自分で非常ボタンを押すことはあまりないので、その動作シーンをみることができたのは貴重な経験だ。

減速センサー

まとめ

今回は高輪ゲートウェイで走っている低速モビリティiinoを紹介した。個人的には非常に興味深い乗り物だと感じた。将来的にはショッピングモールやリゾートホテルなどでも見れるようになると、より快適かつ安全に風景を楽しめるようになるだろう。また自動車などとは違いオープンなので、歩行者と話しながら乗ることもできる。新しい交流の機会を生むかもしれない。私は日本一周を3回やっているが、使用する移動手段によって景色は本当に違った見え方をすると感じる。iinoで巡る日本も楽しそうだ。ぜひみなさんもまずは高輪でこの乗り物を試してみてください!最後までご覧いただきありがとうございました。

JR高輪ゲートウェイ駅(山手線・京浜東北線)※厳密には東海道本線の駅です

コメント

タイトルとURLをコピーしました